AIに支配されず共存する

経営者が支配されがちな思想に、「数字至上主義」があります。「数字はウソをつかない」と信じ込んで売上・利益・評点だけを重視し、人の心や愛情・情熱などには一切興味を示さない経営のことです。確かに数字は大切ですが、数字に支配された結果、大手中古車販売会社B社や大手芸能事務所J社などの巨大企業が、愚かに一瞬で破綻したこともまた事実です。

日本語には「塩梅(あんばい)」という言葉があります。「数字と人心」、「デジタルとアナログ」、「AIと人間知能」、「リアルとリモート」など…。どちらか一方ではなく、各々を絶妙の塩梅で共存させる。これこそが、日本の匠の技「ハイブリッド」であり、今後人類が進めるべき最重要課題だと思います。先日ご紹介した、「東京五輪で日本人が調理した選手村料理が最高においしいのに、上海冬期五輪でAIが作った料理はおいしくない」という話しもしかり。

昨今何かと、生成AI・人工知能等を人類の脅威として扱う節がありますが、私はそんなに敵視しなくても、お互いの長所を活かし合えばよいのでは…と考えています。だから、AIのことを、「エーアイ」などと読まずに「アイ(愛)」と読んであげてもよいのじゃないかと…。「お前の考えは甘い!」って叱られそうですが。(汗)

不祥事を隠す経営者の愚

ネットやテレビのニュースなどで毎日のように世間を騒がせているのが、有名人や大企業における不祥事報道です。大手中古車販売会社の不正事件、大手芸能事務所の性加害事件、大学部員の不祥事等々…、枚挙にいとまがありません。

人が行うことに、失敗はつきものです。失敗をしない人間など、私は、米倉涼子以外には聞いたことがありません。(笑) 過ちを犯してしまったこと自体、結果的に元には戻せません。しかし、多くは起こした不祥事よりも、隠蔽・情報操作・自己中心的発言など、「起こした後の対応の不誠実さ」で大きな批判を浴びることが、よくある傾向なのではないでしょうか。

お恥ずかしい話ですが、私も以前に経営していた進学塾(特進館学院ではありません)で、いくつかの不祥事がありました。警察や裁判所のお世話になるくらいの、塾の存亡に関わる大事件もありました。そんな時に必ず私が行ったのは、迷わずに「すべてを即日包み隠さず公開し、誠意をもって謝罪する」ことと「心のケアに努める」。ただただそれだけでした。

隠蔽や情報操作などは必ずバレて、バッシングはそれ以上に拡がります。経営者たちは、なぜそのことに気付かないのでしょうか? ほんとうに愚かで、同じ日本人として悲しくなります。

失敗は、進化の母

みなさんご承知の通り、マイナンバーカードをめぐる様々なトラブルのニュースが、日々賑わいをみせ、「こんなカードを使っても本当に大丈夫?」と、不安に感じる人も多いのではないでしょうか。行政の対応が遅いこともありますが、トラブルの大方はヒューマンエラーが原因です。厚労省は、マイナ保険証の誤登録が2021年10月~22年11月に7312件あったと発表。これをメディアが、「7312件も誤登録があった」と大々的に報道し、カードシステムに無知な人が返納。それをまたメディアがネガティブ報道するという始末。しかし、カード交付数8997万件(5月時点)中の誤登録の割合はわずか「0.008%」=「12500件に1件のミス」が実状で、これは宝くじの高額当選レベルの確率です。私はむしろ、「役所の人たちは、よくがんばった」と称賛してあげてもよい成績ではないかと考えています。

人々は常に「無謬性(=ノーミス)」を追求しますが、人間の行うことに完璧はありません。むしろ、人類はこのような誤りを犯すたびに悩み苦しんで、それを教訓としながらさまざまな研鑽努力を繰り返して成長し、今なお「進化」を続けることができているのだと思います。

「失敗は、進化の母」。だから、ミスは自分の糧にして、毎日ポジティブに生きていきましょう!