世の中にあるたくさんの職業の中で、「先生」と呼ばれて働く職業がいくつかあります。教師・医師・弁護士・政治家・作家など…。僭越ながら、塾のお仕事もその一つです。だから、塾の世界では新人社員も、最初から「先生」と呼ばれながら働くことになります。
今から30数年前、大阪の塾に入社した当時、私はそのことに違和感を抱いていました。なぜなら、街で若い同僚の塾教師同士で「先生」と呼び合っていると、街の人から不思議な視線を浴びる。それがとても嫌でした。
「先生」と呼ばれて、気分を悪くする人はいません。しかし、それで自分が偉くなったみたいな錯覚に陥って、分不相応に人に傲慢に接したリ、人の心を傷つけたりするような言動は絶対に許されません。
「先生」と呼ばれる仕事は、お客さまから頭を下げてもらって、かつお客さまから代金をいただく。自分から頭を下げて「ありがとうございます」と言葉を発する機会もあまりありません。だからこそ、特進館学院で働く私たちは、「先生」と呼ばれながらも、誰よりも「謙虚」でありたいと考えています。保護者のみなさんを、笑顔で元気よく「ありがとうございました!」とお送りする。これが、私たちのポリシーなのです。
特進館学院の先生の特徴に、「一人が複数教科を担当できる」という点があります。私が以前経営していた塾では、「一人1教科担当」で専門性の高さを売りにしていました。しかし、近年の入試問題は多様化が進んで、教科の枠組みがどんどんなくなり、数学とか社会という縦割りの指導スタイルだけでは対応できなくなった。これが、複数教科担当制の大きな理由です。教科の仕切りが「壁」から「ついたて」に変わり、「理系」・「文系」の区別がなくなり、高い所から全体を眺めないと良い指導はできない。教育は今、そんな時代となりました。
コロナ禍において、例の専門家会議が評価されないのは、メンバーが「感染症科の専門医のみで他の病気が見えない」ことにあると言われています。医師会の影響で、近年の病院が〇〇科・△△科など、次々と専門化・分業化されていくのは良し悪し。昔のように、「内科」みたいな総合的な枠組みの病院や医師が、こんな時こそ必要なのでは…と考えます。
医師の仕事はわかりませんが、私たち教師が指導教科を細かく分けて専門化するとすれば、その理由は、「担当を狭めて楽をしたい」以外の何ものでもありません。多少、問題発言かもしれませんが…。スペシャリストからゼネラリストへ。教育のあり方について、今一度、考え直してみたいと思う今日この頃です。
特進館学院が、意味なく校舎数を増やさない理由の一つに、「教務サービス低下の懸念」があります。『働き方改革』が叫ばれる昨今ですが、この引き金となったのが「膨大な残業の強制」による不幸な出来事の頻発にあったのではないかと思います。
多店舗展開塾の教師の仕事には、少なからず校舎間や本部などとの「移動」があります。加えて、拠点が多くなれば社内のコミュニケーションの希薄さを克服するための「会議」を頻繁に開催することになります。移動も会議も、それぞれ長い時間を要します。
塾の教師は、それらに加えて「授業」という最も重要なミッションがあります。つまり、「移動と会議と授業」で1日8時間をほぼ消化。休憩時間も取れずにパンを片手に大急ぎで車で校舎へ疾走…なんて始末に。以前の私がそうでした。(汗) その結果、授業の準備や教室運営・研修などの全体業務は当然長時間残業で…ということになります。塾業界には残業月100時間超のブラック塾が数多。そんな状況で、教師は心も体も疲弊し、生徒によい授業を行うことなど不可能です。特進館学院は、ご承知のように1校舎。意味のない会議や移動はなく、残業もほとんどありません。だから、私たちは健全な心身で『教務に打ち込む』ことができる。たったそれだけのことです。
ちょっと前の話ですが、私と中3塾生との立ち話で、こんなやり取りがありました。
「Sさん。今回の期末、めちゃがんばったやん!」、(S:泣き崩れる)、「どうしたん?」、S「がんばったのに、ママが全然ほめてくれへん…」。どうやらお母さんは、彼女が5科で100点以上伸びたことをスルー、一番低い点の教科を指摘して娘を叱ったようでした。これは、はっきり言ってお母さんが悪い! 自暴自棄に陥りそうな彼女を必死でフォロー。何とか収まりましたが、こういうところから勉強嫌いや反抗期が始まる…と感じました。
そう言えば最近、テレビなどメディアの報道があまりに酷い。コロナ報道では、国民ががんばって感染対策をして陽性者数が減少しても、「先週より増加」、「重症者数は○○名」、「(一番少なかった)昨年の○月○日と比べて●●倍」、「でも変異ウイルスガー」とかで、たまに良い数字が出ても、すぐにゴールポストを動かして、絶対に「がんばりましたね!」と、ほめる言葉などまったくなく、常に視聴者をあおる報道ばかりでもうウンザリ…。
まるでメディアは「ダメな親」。そんなテレビ番組のキャスターやコメンテーターのネガティブワードの影響を受けて、「ほめずに叱るだけの親」なんかにはならないように…と心から祈っています。
ここのところ、毎日のように折り込まれる学習塾の生徒募集チラシ。ご多分に漏れず、携帯会社かと見間違うほど「●●無料」のオンパレード。「タダやからおいで!」って、「人をバカにしとんか!」と言い返したくなりません?
昨年の秋、タダ同然のサプリをネットで衝動買い。でも、全く効果がなかったのでコールセンターに電話したら、「お客様。この商品は5か月継続しないと解約できない契約で…」と言われて唖然。しかも2回目からは毎月8,926円。確認しなかった自分が悪いのですが、不幸な私は総額4万円以上を今も払い続けています。(涙)
先日もお話しをしましたが、十数年前に私がある塾を経営していた頃、生徒数140名くらいの分教室の近くに新しい塾が出店し、「無料」連呼に生徒4人がダマされて転塾。結果、その子たちは不幸なことに、誰一人として志望校に合格できなかったという、苦い過去もあります。
「塾は安ければそれでいい?」。そんな訳ないですよね。知らない人に、「お菓子をあげるからついておいで」みたいなワナにハマると、必ず不幸な悲劇を招きますよね。無料のワナは、不幸の始まり。タダほど不吉なものはない。私たちは、子どもたちに「幸せ」を導く進学塾として、愚直に取り組んでまいります。
たとえば、牛乳は近くのコンビニかスーパーで買いますよね。では、スーツやバッグを買うときはどうでしょう? たぶん、スーパーではなく、休日などに時間と交通費を費やして、都会の大きなデパートへ行って、じっくりと選びたい方が多いのではないでしょうか?
一般に塾の商圏(通塾エリア)は、「半径2km」程度といいます。これは、自転車や徒歩で十分通える距離。ところが、特進館学院の塾生は、「半径25km」のエリアから通ってくれていて、自転車や徒歩は2割未満。本来なら、このエリアに10数か所の分教室があってもおかしくないのですが、ご承知の通り『1教室』です。
牛乳はコンビニで買うのに、スーツはデパートで買う理由は、多少遠くても〝妥協せずに自分に一番合う良い商品を選びたい〟からだと思います。私たちは、そんな「こだわり」を持つみなさんに選んでいただけるような、『デパート型の進学塾』を目指しています。「遠くから時間をかけて通っても、それだけの価値がある」と言っていただけるような存在となるため、これからも真摯に努力を続けていきたいと考えています。
昨年の緊急事態宣言が発出された頃に、世間で「オンライン飲み会」などのリモートイベントが一時流行しましたが、ほどなくして、それらをあまり耳にしなくなった理由をご存知ですか?
コロナ禍が未だ収束しない現状下、人類は「新しい生活様式」という旗印のもと、テレワークやリモート会議・面会などに努めてきました。確かに、会わなくてもできる事象が多々あることに気付きましたが、それらに依存し続けると、いつか私たちは「人間らしさ」を失い、破綻するのではないかと考えています。
レストランの料理がおいしいのは、その食べ物だけでなく、場の雰囲気などがスパイスとして効いているから。塾だと、単に授業だけでなく、先生との会話や声援などの通じ合い、清潔で居心地の良い空間提供などが相まって、やる気と成績向上が叶うもの。特進館学院や特進館予備校で、面談と設備を重視するのもその所以。ですから、「オンラインで、用さえ足せればいい」という無機質な考え方が蔓延すると、仕事や学習に必要な「潤滑油(=絆)」が枯渇し、人類の終わり(AIに支配されるような)の始まりが訪れると思います。
「教育のデジタル活用は30~40%に留める」ことが私たちのポリシー。これからも、オンラインなどを有効利用しつつ、子どもたちと「心の通う温かい対面指導」を続けてまいります。
スマホに突然のニュース記事。「大手学習塾Rに同業19社が抗議。悪質勧誘・合格者水増しを内部告発される」。塾の事件とは思えないおどろおどろしいタイトルに仰天。内容を読んで、怒りで体温が急上昇。この塾は昔から、中身がないので「講習会無料」のキャッチコピーで集客するという、破廉恥な営業術を塾業界に蔓延させた神奈川の大手塾。組織ぐるみの悪質勧誘と大規模な合格実績改ざんが、勇気ある社員の内部告発によって明るみに出たのですが、何とこれが2度目の出来事。でも、塾の大部分は真面目に誠実に取り組んでいます。そんな私たちの良識を踏みにじる彼らの行為は絶対に許せません。
ここ数日、同類の「無料」を売りにしている近隣塾から特進館の冬期講習受講申込が相次いでいます。移籍の理由は、「オンライン授業で多クラスをまとめて100名規模の大人数で講義」。コロナ渦中をよいことに、遠隔で多地域の生徒を都合よく集約して人件費を大幅に削減。一部の教師にだけ授業をさせるのは、「利益第一主義」の荒手法ですが、良識ある塾は絶対にやらない〝禁じ手〟です。悪質勧誘や合格実績改ざんと同様の大罪です。
かしこい保護者は、このようなあざとい手には引っ掛からない。そんな現実を今、身をもって経験し、なぜか心が安らいでいるきょうこの頃です。
「無料」という言葉に、スグに引っかかる人がいます。「本体無料!」の魅力的なコピーに騙されて携帯を買い、結果的にそれ以上の総額費用を払ってしまって後悔するような…。
十数年前に私が以前の塾を経営していた頃、生徒数が140名ほどのある分教室での出来事。近くに新しい塾が進出し、大量のチラシを投下。そのキャッチコピーは、「無料、無料、とにかく無料…」みたいな、品のない内容だったのですが、その地域(三田ではありません)の人々が多数引っかかり、短期間で200人超の生徒を集めたそうです。そして、悲しいことに私の教室からも中1・2生が計4名転塾していきました。他塾に比べて転塾者は各段少数でしたが、当時の私は心底悔しくて、その4名を受験まで追跡。結果、誰も志望校に合格しなかった。私は、辛くて悲しくて何日も眠れませんでした。その塾は現存しますが、当時の勢いはなく、縮小しています。
また約10年前、東海地方の大手塾が全国展開し、塾業界で話題になったことがあります。ここも巨大チラシに、「ゼロ円」のオンパレード。やはり一時は生徒が集まりましたが、合格率が低く、今は見る影もありません。
塾はディスカウントショップではありません。私たちのモットーは、「今いる生徒を大切にすること」。地域に密着してまじめにコツコツと生徒指導に取り組む、「良識のある進学塾」として、決してこの地を離れることなく歩んでまいります。今年の冬期講習は、「熱い対面授業」。全身全霊でサポートさせていただきます。
以前にお話しした内容ですが、あえてもう一度。いよいよ志望校選定の時期。この間面談で、「うちの子はプレッシャーに弱いから、無理して上の学校へ入ってギリギリでいるより、ランクを下げて上位の成績で行かせた方がよい」というお声をよく耳にします。実はこれがとんでもなく大きな〝過ち〟。仮に受験時の偏差値が変わらない2校でも、卒業時の進学先で大きな「違い」が生まれるケースがたいへん多いのが事実です。
中学と高校の学習は異なりますので、入試でギリギリの成績で入った生徒が、ずっと下位の成績という例はあまりありません。よほどでない限り、入学時には多くの生徒のレベルが一旦スタートラインに並びます。ボーダーの成績で入った生徒が、高3時にトップレベルになっていることも、珍しくありません。逆に、ランクを下げて余裕で入っても、気がつけば中以下というケースも多々あります。トップの高校と2番手校の主要大学合格者数には大きな隔たりがあります。少し努力すれば合格できる高校を避けて安全圏を選ぶことは、大きな「ボタンの掛け違い」だと思います。
決して現実的にはならず、高い目標に向けて努力する姿勢こそが、受験のみならず、将来社会人としても必ず成功に直結します。「目標は少しでも高く!」。みなさんの成功を祈っています!