ブーイングばかりのサポーター【代表北村の教育ちょこっとコラム】

保護者の方から、「親は自宅で子どもにどのように指導すればよいか?」とのご相談を受けることがしばしばあります。すべてを塾にまかせるのではなく、「自分たちも子どもの学習状況をしっかり把握しておきたい」という前向きな意気に頼もしさを感じるのですが、「少しいきすぎ?」と思う方も、たまにいらっしゃいます。 このようなご質問をいただく折、決まってお応えするのが「なるべく我が子の学習する様子を見守ってあげてください。ポジティブに…」というご回答。私も経験上理解できますが、親という生き物は、我が子の学習する姿も学習しない姿もどちらをみても歯痒くてイライラしてしまうもの。そして、ついついアラばかりに目が行き小言を言ってしまう。特に、子どもと一緒に居る時間の多い母親にその傾向が強いようです。
言うまでもなく、親は我が子にとっては最大の応援者。にもかかわらず、彼がヒットを打ってもあまり歓声を上げず、エラーの時には目一杯ブーイングを浴びせてしまう。もしこれが、サッカーや野球などの試合だったら、ブーイングばかりを浴びせられる選手はたまったものではありません。もちろん成績も…。
サポーターの声援は、選手の能力を何倍にも増幅するパワーを持つと言われています。さまざまな好記録は、観客ゼロの競技場では決して生まれないと私は考えています。つまり、たまのブーイングも必要ですが、基本は声援主体で応援してあげてほしい。そうすれば、本人の力も、きっと素晴らしく向上することと思います。

高校教科書も15%増で「脱ゆとり」【代表北村の教育ちょこっとコラム】

文部科学省は3月26日、2014年度から使われる高校2・3年生向けの教科書の検定結果を発表した。教える内容を約40年ぶりに増やした新学習指導要領に対応。主要10教科の平均ページ数は現行版に比べ15%増え、小・中学校と進む「脱ゆとり教育」の総仕上げとなる教科書になった。教科別の平均ページ数は現行版に比べ、国語30%増、数学28%増、英語21%増、理科19%増、公民18%増など軒並み大幅に増加。英語は教える単語数が4割増えて1800語となった。領有権を巡っては、韓国や中国が主張する島根県の竹島と沖縄県の尖閣諸島の問題は、地理と政治・経済の計9冊中8冊が記す結果となった。
2002年に、「生徒自身の『生きる力』と『自分で物事を考える力』を育てる」という目的のもとに鳴り物入りでスタートしたゆとり教育。しかし、その後に生徒の自由で豊かな発想力や想像力が伸びたというデータは今のところほとんどなく、生徒の自殺・いじめや教師による体罰など、多くの深刻な社会問題が生まれる残念な結果となった。かといって、子どもたちに罪はない。今や「ゆとり」という言葉は、「彼はゆとりだから仕事ができない…」といったようにネガティブな意味しか使われなくなった。
人は、一生懸命学習して初めて成長できる。だからこそ私たち大人は、今までの愚かな過去を反省し、「脱ゆとり」を掲げて子どもたちが前向きに学習に打ち込める環境づくりを進めていくべきである。

学校週6日制 賛成74%・反対18%【代表北村の教育ちょこっとコラム】

我ら下村文科大臣が、公立校の授業を週6日制へ戻す検討を始めました。授業時間を確保し、学力向上を図ることが狙いです。調査では、6日制に賛成派が74%と反対派の18%を大きく引き離しました。賛成の理由は、「5日制では授業時間が足りない」「自分たちが子供の頃は6日制」「6日制の私立との格差が縮小する」が上位を占め、反対の理由は、「学力が向上すると思わない」「世の中で週休2日制が広がっている」「家族だんらんの時間が減る」。賛成派の62%は「実施するなら小中高すべて」、「小中のみ」の折衷案も26%おり、実施形態では「毎週」が63%、「隔週」が31%となりました。
公立校の土曜が、月1回休みになったのは1992年。95年には隔週となり、2002年、「ゆとり教育」と批判された前学習指導要領の実施に合わせて完全5日制に移行しましたが、それからわずか10年余りで浮上した週6日制復帰論は、一連の脱・ゆとり教育路線の総仕上げともいえるでしょう。
とはいえ、反対派も指摘するように6日制で学力が向上する保証はありません。いざ実施となれば、不満も出そうですし、教員増も難しいなどの課題も山積します。
ここ20年ほど続いた教育行政の迷走で、最大の被害者は子どもです。歴史に耐えうる議論をとことん尽くしてほしいと思います。