「体罰」について考える【代表北村の教育ちょこっとコラム】

昨今、学校現場やスポーツ指導においての「体罰」が、マスコミや政府などで大きくクローズアップをされていますが、ひとくくりに「体罰」と言っても、そのとらえ方は人によってさまざまです。
私は、小学校で先生に叩かれた経験は星の数ほど。中学校時代は、絶対に叩かないと言われていた先生から、思いっきり平手打ちで叱られたこともあります。でも、そのことでその先生を恨んだことは一度もありません。むしろ叩かれて、「自分は気にかけてもらっている」という喜びを感じ、今でもその苦い経験は「良き思い出」として自分自身の記憶に残っています。(叩かれたい趣味はありませんので誤解なく…(笑)
体罰について言うと、例えは悪いですが「セクハラ」と似た性質を持っているのでは考えます。セクハラは、行う相手によって、セクハラであったりなかったりするというたいへん曖昧なもの。その違いは、「心が通っているかいないか」の一言に尽きるのではないでしょうか。
電車の中で、足を踏まれるととても痛い。でも、その相手が親友だと知った瞬間、「ゴメン!」の一言でその痛みは消えてしまう。つまり、痛みは皮膚で感じるのではなくて、「心」で感じるものなのです。「大丈夫?」といたわりながら背中をさするのは、無意識にその人の心(ハート)をかばっている証ではないでしょうか?
私たち指導者は、何でもかんでも「体罰」と騒ぐのではなく、その前に「心の通った指導ができているか」をしっかりと考えて行動する必要があると思います。

ますます進む『二極化』現象【代表北村の教育ちょこっとコラム】

日本の国民が近年、一部の富裕層とそうでない層とに二極化しつつある現象と同様に、大学・高校のレベル、生徒の学力レベルも大きく二極化の一途をたどっています。かつて、テストの採点で、「○×」と「△」の時代から、「○」と「×」だけの時代へ。「真ん中」という概念はどんどん消えていくようです。「上中下」のランク付けから「上下」のみに変わって格差がどんどん拡がり、必然的に二極化していく。ある意味悲しい現実です。
情報を持つ人間はさらに強く、情報を持たない人間はますます弱くなる。トランプの「大富豪」というゲームで、富豪には良いカード、貧民には悪いカードが集まるという現象とよく似ています。
2002年頃から文科省主導で大学の二極化が進められ、ここ最近、難関と呼ばれる大学の入試問題は年々その難易度が高くなり、おいそれと合格することは困難となっています。レベルの高い学生が集中するので、易しい入試問題では差がつかない…というのがその原因です。他方では、少子化の影響で、生徒の確保が困難な大学も年々増大。そうした大学は、受験生を集めるために入試科目を減らしたり、過大なPR費用を掛けたり、ひどい場合には入試すら行わない、などというケースもあります。そして、難関大学と誰でも入れる大学とにどんどん二極化していきます。
つまり、上位の受験生でも油断して一歩足を踏み外せば、「真ん中」はなく、「どん底」にまで落ちてしまう。残酷ですがこれが現実。特進館学院の受験生諸君も、心して学習に取り組んでいきましょう!

基本は〝ほめる〟こと【代表北村の教育ちょこっとコラム】

『アジアンビューティー』という言葉をお耳にされることはないでしょうか? これまで美しい女性の代名詞と言えば、決まって欧米の女性が筆頭に挙げられることが多かったと思いますが、ここ最近は日本や中国・韓国など、アジアの女性の美しさがとりわけ見直されているようです。私は、女性のお化粧には詳しくありませんが、顔や肌・頭髪など、見える部分にいろいろなものを塗布して、「よくないものをコーティングして隠してしまう」のが西洋的な美容法。その人自身の良いものを中から外へ出し、「内面から美しく見せる」というのが東洋美容の考え方だそうです。日本独自の、「見えないところをおしゃれする」という美しい考え方にも通じます。
世間では今、『コーチング』がさまざまな研修等の場で、オーソドックスなメニューとなっています。指導者が一方的に「この通りにしなさい」という『ティーチング』と比べて、「自分の考えでやらせてみて、困ったらサポートする」というコーチングは本人の意欲を高め、行動や可能性を引き出します。その人自身の内面的能力を培うには、このコーチングが効果的だと言われています。
コーチングの基本は『ほめる』ことだそうです。親子ではなかなかうまくできないこの行為。照れることなくもっと積極的にやってみたいものです。ほめられて、嫌がる子どもはいないのですから…。
~ やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ ~ ≪山本五十六≫

志望校選びの大きな〝過ち〟【代表北村の教育ちょこっとコラム】

いよいよ志望校選定の時期となりました。この期間、よく「うちの子はプレッシャーに弱いから、無理して上の学校へ入り、ギリギリでいるよりランクを下げて上位の成績で行かせた方が…」というお声を時折耳にします。納得される方も多いと思いますが、実はこれがとんでもなく大きな〝過ち〟。仮に受験時の偏差値がさほど変わらない2校でも、卒業時の進学先で大きな「違い」が生まれるケースがたいへん多いのが事実です。
中学校の学習と高校の学習は異なりますので、高校入試でギリギリの成績で入った生徒が、3年間ずっと下位の成績という例はあまりありません。よほどでない限り、入学時には多くの生徒のレベルが一旦スタートラインに並びます。ですから、ボーダーの成績で入学した生徒が、高3時にはトップレベルになっていることも珍しくありません。逆に言えば、ランクを下げて上位で入った高校なのに、気がつけば中以下の成績というケースも多々あります。このことは中学・大学受験でも同じように言えるのです。
公立高校のトップ校と2番手校での主要大学合格者数には大きな隔たりあります。少し努力すれば合格できる学校を避けて安全圏の学校を選ぶことは、大きな「ボタンの掛け違い」となります。決して現実的にはならず、高い目標に向けて努力する姿勢こそが、受験のみならず、将来社会人としてスタートした後も成功に直結します。「目標は少しでも高く!」がキーワード。大志を抱いて! みなさんの成功を祈っています。

子ども目線に合わせて【代表北村の教育ちょこっとコラム】

一般的には、母親のほうが子どもと向き合う時間が長い家庭が多いため、夏休みくらいは協力したいと考える父親は多い。親子にとって、とてもよいことです。ただし、問題を子どもに教えるときは、できるお父さんほど、注意していただきたい。たとえば小学生の場合、算数の問題などを中学校で習う数学の考え方を使って、ぱっと解いてしまいがちだからです。スマートですが子どもは意味がわからず、手法だけを丸暗記してしまい、結果的に応用が利かないことになってしまいます。
できる父親こそ、塾のテキストや参考書をよく読むことから始められてはいかがでしょう。受験対策用教材も歴史を重ね、その内容は子どもが理解しやすいように入念に研究され工夫されています。読めばその細かな工夫がわかり、子どもの目線に合わせて教えることができるはずです。
また、これまでに受けたテストの分析も父親がやってあげるとよいことの一つだと思います。常日頃は目先の点数や偏差値に一喜一憂しがち。どこが弱点で、なにが理解できていないのかをしっかり分析して、効率の良い学習につなげてあげる。そして、子どもは復習してもすぐ忘れるということを前提にイライラしないことです。感情をぶつけても逆効果で、決してできるようにはなりません。
残り夏休みは両親も役割分担をして、効率的に子どもを応援する計画を立てていただいてはいかがでしょう?

ミラーニューロン【代表北村の教育ちょこっとコラム】

もしお子さまが家で次のようなことをしていたら、どう思いますか?
●ゴロゴロしてテレビばかり見ている ●勉強しないで、好きなことしかやらない ●食事の時の行儀が悪い ●家族や周りの人にあいさつもできない ●いつも先生や友だちの不平・不満ばかりを口にする
こんな姿をヨシとする親はいません。注意をすると、「わかってる!」とか「うざい!」と言われ大喧嘩…。
基本的に、子どもは親の言うことを聞きません。生物学的にも子どもは親から独立するもので、ある時期から親が嫌いになるそうです。正常に成長すれば「親離れ」するのが当然なのです。では、どうすればいいのか…。
子どもは「大人の鏡」です。言ったことはきかなくても、親の行動に無意識に真似をするシステムが子どもに備わっています。子どもがドアを足で閉め、「行儀が悪い!」と注意したら、「お母さんだって」と言い返された経験はありませんか? 歳をとるにつれ「しぐさがだんだん親父に似てきた」と感じることはありませんか?
これは脳の中の『ミラーニューロン』のせい。ミラー(鏡)のニューロン(脳細胞)です。このミラーニューロンが子どもの行動や考え方に及ぼす影響は大きく、子どもの性格を作ってしまう、と言っても過言ではありません。つまり、例えば「子どもに勉強してほしい」と思ったら、子どもの前で自分が勉強する。「本を読ませたい」と思ったら、自分が読む。「あいさつをしてほしい」なら、自らがしっかりあいさつを行っている姿を見せる方が「口で諭すより効果的」だそうです。私も二人の娘のために、しっかり実践したいと思います!

クレームは『宝の山』

「モンスターペアレント」という言葉の出現で、クレームが言えない親が多くなったという記事を、以前目にした。モンスターと言われることを恐れ、学校や塾への申し入れができない親が増えているらしい。これでは、我が子の話に腹を立てても何も言えずに、教師への不信感が募るばかりではないだろうか。  恥かしながら当学院も、保護者の方からお叱りの言葉を頂戴することが年に数件。もちろん、モンスターではなく、冷静かつ丁重に、こちら側の言い分も聞いていただける姿勢で話されるのだが、正直そのご指摘内容にはかなり手厳しいケースもある。
誰しもクレームを受けるのは辛いもの。しかし、そのクレームにこそ、私たちの気付かない貴重なアドバイスが含まれていることが多い。クレームが、受ける側よりも、出す側に大きなエネルギーが必要であることも事実である。たとえばレストランに行って、料理がまずい・店員が態度横柄・異物混入…などで嫌な思いをした時、その場でクレームを言う人は日本ではわずか2割程度だという。つまり、8割の人は何も言わずに「もう二度とその店には行かない」という行動に出る。しかしこれでは、その店のサービスは永久に改善されない。
保護者の方からお叱りの言葉を頂戴した時に、私たちは最後に必ず「ありがとうございました」をお返しすることにしている。「勇気を出して叱って頂いたおかげで、私たちはさらに成長できる」ことへの感謝の証として。そして、その人たちとの絆はさらに深まる。だからこそ、『クレームは宝の山』なのである。

ブーイングばかりのサポーター【代表北村の教育ちょこっとコラム】

保護者の方から、「親は自宅で子どもにどのように指導すればよいか?」とのご相談を受けることがしばしばあります。すべてを塾にまかせるのではなく、「自分たちも子どもの学習状況をしっかり把握しておきたい」という前向きな意気に頼もしさを感じるのですが、「少しいきすぎ?」と思う方も、たまにいらっしゃいます。 このようなご質問をいただく折、決まってお応えするのが「なるべく我が子の学習する様子を見守ってあげてください。ポジティブに…」というご回答。私も経験上理解できますが、親という生き物は、我が子の学習する姿も学習しない姿もどちらをみても歯痒くてイライラしてしまうもの。そして、ついついアラばかりに目が行き小言を言ってしまう。特に、子どもと一緒に居る時間の多い母親にその傾向が強いようです。
言うまでもなく、親は我が子にとっては最大の応援者。にもかかわらず、彼がヒットを打ってもあまり歓声を上げず、エラーの時には目一杯ブーイングを浴びせてしまう。もしこれが、サッカーや野球などの試合だったら、ブーイングばかりを浴びせられる選手はたまったものではありません。もちろん成績も…。
サポーターの声援は、選手の能力を何倍にも増幅するパワーを持つと言われています。さまざまな好記録は、観客ゼロの競技場では決して生まれないと私は考えています。つまり、たまのブーイングも必要ですが、基本は声援主体で応援してあげてほしい。そうすれば、本人の力も、きっと素晴らしく向上することと思います。

高校教科書も15%増で「脱ゆとり」【代表北村の教育ちょこっとコラム】

文部科学省は3月26日、2014年度から使われる高校2・3年生向けの教科書の検定結果を発表した。教える内容を約40年ぶりに増やした新学習指導要領に対応。主要10教科の平均ページ数は現行版に比べ15%増え、小・中学校と進む「脱ゆとり教育」の総仕上げとなる教科書になった。教科別の平均ページ数は現行版に比べ、国語30%増、数学28%増、英語21%増、理科19%増、公民18%増など軒並み大幅に増加。英語は教える単語数が4割増えて1800語となった。領有権を巡っては、韓国や中国が主張する島根県の竹島と沖縄県の尖閣諸島の問題は、地理と政治・経済の計9冊中8冊が記す結果となった。
2002年に、「生徒自身の『生きる力』と『自分で物事を考える力』を育てる」という目的のもとに鳴り物入りでスタートしたゆとり教育。しかし、その後に生徒の自由で豊かな発想力や想像力が伸びたというデータは今のところほとんどなく、生徒の自殺・いじめや教師による体罰など、多くの深刻な社会問題が生まれる残念な結果となった。かといって、子どもたちに罪はない。今や「ゆとり」という言葉は、「彼はゆとりだから仕事ができない…」といったようにネガティブな意味しか使われなくなった。
人は、一生懸命学習して初めて成長できる。だからこそ私たち大人は、今までの愚かな過去を反省し、「脱ゆとり」を掲げて子どもたちが前向きに学習に打ち込める環境づくりを進めていくべきである。

学校週6日制 賛成74%・反対18%【代表北村の教育ちょこっとコラム】

我ら下村文科大臣が、公立校の授業を週6日制へ戻す検討を始めました。授業時間を確保し、学力向上を図ることが狙いです。調査では、6日制に賛成派が74%と反対派の18%を大きく引き離しました。賛成の理由は、「5日制では授業時間が足りない」「自分たちが子供の頃は6日制」「6日制の私立との格差が縮小する」が上位を占め、反対の理由は、「学力が向上すると思わない」「世の中で週休2日制が広がっている」「家族だんらんの時間が減る」。賛成派の62%は「実施するなら小中高すべて」、「小中のみ」の折衷案も26%おり、実施形態では「毎週」が63%、「隔週」が31%となりました。
公立校の土曜が、月1回休みになったのは1992年。95年には隔週となり、2002年、「ゆとり教育」と批判された前学習指導要領の実施に合わせて完全5日制に移行しましたが、それからわずか10年余りで浮上した週6日制復帰論は、一連の脱・ゆとり教育路線の総仕上げともいえるでしょう。
とはいえ、反対派も指摘するように6日制で学力が向上する保証はありません。いざ実施となれば、不満も出そうですし、教員増も難しいなどの課題も山積します。
ここ20年ほど続いた教育行政の迷走で、最大の被害者は子どもです。歴史に耐えうる議論をとことん尽くしてほしいと思います。