保護者を欺く、悪質な塾の犯罪

スマホに突然のニュース記事。「大手学習塾Rに同業19社が抗議。悪質勧誘・合格者水増しを内部告発される」。塾の事件とは思えないおどろおどろしいタイトルに仰天。内容を読んで、怒りで体温が急上昇。この塾は昔から、中身がないので「講習会無料」のキャッチコピーで集客するという、破廉恥な営業術を塾業界に蔓延させた神奈川の大手塾。組織ぐるみの悪質勧誘と大規模な合格実績改ざんが、勇気ある社員の内部告発によって明るみに出たのですが、何とこれが2度目の出来事。でも、塾の大部分は真面目に誠実に取り組んでいます。そんな私たちの良識を踏みにじる彼らの行為は絶対に許せません。

ここ数日、同類の「無料」を売りにしている近隣塾から特進館の冬期講習受講申込が相次いでいます。移籍の理由は、「オンライン授業で多クラスをまとめて100名規模の大人数で講義」。コロナ渦中をよいことに、遠隔で多地域の生徒を都合よく集約して人件費を大幅に削減。一部の教師にだけ授業をさせるのは、「利益第一主義」の荒手法ですが、良識ある塾は絶対にやらない〝禁じ手〟です。悪質勧誘や合格実績改ざんと同様の大罪です。

かしこい保護者は、このようなあざとい手には引っ掛からない。そんな現実を今、身をもって経験し、なぜか心が安らいでいるきょうこの頃です。

タダほどコワイものはない

「無料」という言葉に、スグに引っかかる人がいます。「本体無料!」の魅力的なコピーに騙されて携帯を買い、結果的にそれ以上の総額費用を払ってしまって後悔するような…。

十数年前に私が以前の塾を経営していた頃、生徒数が140名ほどのある分教室での出来事。近くに新しい塾が進出し、大量のチラシを投下。そのキャッチコピーは、「無料、無料、とにかく無料…」みたいな、品のない内容だったのですが、その地域(三田ではありません)の人々が多数引っかかり、短期間で200人超の生徒を集めたそうです。そして、悲しいことに私の教室からも中1・2生が計4名転塾していきました。他塾に比べて転塾者は各段少数でしたが、当時の私は心底悔しくて、その4名を受験まで追跡。結果、誰も志望校に合格しなかった。私は、辛くて悲しくて何日も眠れませんでした。その塾は現存しますが、当時の勢いはなく、縮小しています。

また約10年前、東海地方の大手塾が全国展開し、塾業界で話題になったことがあります。ここも巨大チラシに、「ゼロ円」のオンパレード。やはり一時は生徒が集まりましたが、合格率が低く、今は見る影もありません。

塾はディスカウントショップではありません。私たちのモットーは、「今いる生徒を大切にすること」。地域に密着してまじめにコツコツと生徒指導に取り組む、「良識のある進学塾」として、決してこの地を離れることなく歩んでまいります。今年の冬期講習は、「熱い対面授業」。全身全霊でサポートさせていただきます。

志望校選びの大きな〝過ち〟

以前にお話しした内容ですが、あえてもう一度。いよいよ志望校選定の時期。この間面談で、「うちの子はプレッシャーに弱いから、無理して上の学校へ入ってギリギリでいるより、ランクを下げて上位の成績で行かせた方がよい」というお声をよく耳にします。実はこれがとんでもなく大きな〝過ち〟。仮に受験時の偏差値が変わらない2校でも、卒業時の進学先で大きな「違い」が生まれるケースがたいへん多いのが事実です。

中学と高校の学習は異なりますので、入試でギリギリの成績で入った生徒が、ずっと下位の成績という例はあまりありません。よほどでない限り、入学時には多くの生徒のレベルが一旦スタートラインに並びます。ボーダーの成績で入った生徒が、高3時にトップレベルになっていることも、珍しくありません。逆に、ランクを下げて余裕で入っても、気がつけば中以下というケースも多々あります。トップの高校と2番手校の主要大学合格者数には大きな隔たりがあります。少し努力すれば合格できる高校を避けて安全圏を選ぶことは、大きな「ボタンの掛け違い」だと思います。

決して現実的にはならず、高い目標に向けて努力する姿勢こそが、受験のみならず、将来社会人としても必ず成功に直結します。「目標は少しでも高く!」。みなさんの成功を祈っています!