人間は得てして、物ごとの見た目に惑わされやすいもの。安物の食器でも、たいそうな桐箱に入っていると高価に感じますし、弱い人が、いかつい恰好をしていると強く見えてしまう…。
20代の頃、当時勤めていた進学塾の生徒にある実験を行ったことがあります。40人の生徒を、学力レベルがまったく同じになるよう20名ずつに分けて別々の部屋に入れて、テストを実施しました。片方の部屋(X)の生徒には、「このテストは滅茶苦茶難しい。東大生でもできないかも…」。もう一方の部屋(Y)には、「これは、超簡単な基本問題です。小学生でも解けるゾ!」。といった話をして、双方にまったく違う先入観を擦り込んでから解かせました。もちろん、どちらも同じ問題です。
結果は何と、Xの平均点が約50点、Yの平均点が約70点。同じ学力で同じ問題なのに、2つの部屋で20点以上の大きな平均点差が開いてしまいました。まさしく、見た目に惑わされてしまった上の、失敗と成功です。
テストの最中は、誰しも少なからず緊張します。だから、テストが終わった後で、「この問題、解けたのに…」などと後悔する経験はよくあること。見た目に支配をされない自分を鍛えることこそが、勝利への近道なのかもしれません。