子どもたちの視力低下が止まらない。文科省がまとめた2015年度の学校保健統計調査によると、裸眼視力が「1.0未満」の小学生の割合は30.9%と過去最高になった。幼稚園児も増加傾向で、中高生は半数を超えている。専門家はスマホや携帯ゲーム機などの長時間利用が視力の低下の一因とみている。
1.0未満の小学生の割合は、調査を始めた1979年度は17.9%だったがその後は増え続け、12年度からは毎年30%を上回っている。幼稚園児も79年度の16.4%から15年度は26.8%に。ピークの08年度(28.9%)は下回ったが、依然として高水準だ。中学生は54.0%、高校生は63.7%だった。
日本小児眼科学会の前理事長で川崎医療福祉大の田淵昭雄名誉教授は「幼い頃からスマホなどの画面を長時間近くで見ていることが原因。家庭内でのルールを作ったり、なるべく外で遊ばせたりして、目を酷使させないでほしい」と指摘する。
一方、虫歯のある子どもの割合は改善傾向が続く。高校生は52.4%で過去最低を更新。幼稚園児は36.2%、小学生50.7%、中学生40.4%で、いずれも前年度より減少。70年頃は90%以上の子どもに虫歯があったが、学校での歯磨き指導や家庭での習慣づけが効果をあげているという。年齢別で虫歯のある割合が、最も高かったのは、9歳(57.6%)、最も低かったのは5歳(36.2%)だった。
「火事場の馬鹿力」【代表北村の教育ちょこっとコラム】
今からン十年前、中学1年生の夏に家族で香川の金刀比羅宮に旅行に行った時の出来事。夕食まで少し時間があったので、兄弟3人で土産物屋さん街をぶらぶら回っていると、にわかに焦げ臭いにおいが漂ってきました。よくみると、向かいのお店の奥から煙が出ています。「火事だ!」という大きな声。すぐに、まわりから消火器を持った人が数人集まってきたのですが、消火器が使えない。たちまち炎は大きくなり、火の手はお店の2階にまで拡がっていきました。
そして、「2階におばあちゃんが!」という女性の叫び声。でも、まわりは何もできずに狼狽するばかり。…その時です! そのおばあちゃんが一人で階段を降りてきたのです。それも何と大きなタンスを抱えて。結果、この火事でお店は全焼しましたが、幸いケガ人は出ませんでした。
あとで聞いたのですが、そのおばあちゃんは、命より大切な嫁入り道具の着物の入ったタンスを、どうしても見捨てられなくて、ものすごいパワーが出たようです。これぞ「火事場の馬鹿力」。授業などでたくさんの課題を与えると、「もう死んでしまう」とか「頭が爆発する」とか言う生徒がいますが、そんな子たちに私はこのおばあちゃんの話をします。「君たちの力に、限界なんてないんだ!」と。
褒め方で、子どもの脳が活性化する【代表北村の教育ちょこっとコラム】
今までに、お子様への「褒め方」や「叱り方」の重要性については何度もお話しいたしましたが、あらためてみなさんにぜひ知っておいていただきたいこと。それは、「褒め方」にも〝コツ〟があるということです。
かつて、米国スタンフォード大学の実験で、子どもに対する『褒め方の影響』に関して以下の2通りの褒め方をしたときに子どもたちにどんな変化が出たか…という調査の結果には、たいへん興味深いものがあります。
A.「90点。一生懸命がんばったわね!」
B.「90点。すごい。あなたは頭がいいわね!」
Aは努力や行動を褒めており、Bは素質や賢さを褒めています。結果、Aで努力を褒められた子どもは、より難しい問題にチャレンジするようになり、成績が30%伸びました。一方、Bで素質を褒められた子どもは、簡単な問題を好む傾向が表れ、成績は20%低下したそうです。
努力や行動を褒められた子どもは、自分の間違いを積極的に見つけて、自ら学んでいく姿勢を身につけます。一方、賢さを褒められた子どもは、間違いから目を背け、失敗を避けて自尊心を維持しようとしてしまうのです。「褒め方」ひとつで、子どもの脳が活性化する。褒めることにも、どうやら綿密な作戦が必要なようですね。