文部科学省は3月26日、2014年度から使われる高校2・3年生向けの教科書の検定結果を発表した。教える内容を約40年ぶりに増やした新学習指導要領に対応。主要10教科の平均ページ数は現行版に比べ15%増え、小・中学校と進む「脱ゆとり教育」の総仕上げとなる教科書になった。教科別の平均ページ数は現行版に比べ、国語30%増、数学28%増、英語21%増、理科19%増、公民18%増など軒並み大幅に増加。英語は教える単語数が4割増えて1800語となった。領有権を巡っては、韓国や中国が主張する島根県の竹島と沖縄県の尖閣諸島の問題は、地理と政治・経済の計9冊中8冊が記す結果となった。
2002年に、「生徒自身の『生きる力』と『自分で物事を考える力』を育てる」という目的のもとに鳴り物入りでスタートしたゆとり教育。しかし、その後に生徒の自由で豊かな発想力や想像力が伸びたというデータは今のところほとんどなく、生徒の自殺・いじめや教師による体罰など、多くの深刻な社会問題が生まれる残念な結果となった。かといって、子どもたちに罪はない。今や「ゆとり」という言葉は、「彼はゆとりだから仕事ができない…」といったようにネガティブな意味しか使われなくなった。
人は、一生懸命学習して初めて成長できる。だからこそ私たち大人は、今までの愚かな過去を反省し、「脱ゆとり」を掲げて子どもたちが前向きに学習に打ち込める環境づくりを進めていくべきである。