国や企業のトップが教訓としている格言に、『大計得と小計得』というものがあります。
沖縄琉球の礎を創った蔡温(さいおん)は、次のような言葉を残しています。「目先の課題に対処する小計得ではこの国を安定させることはできない。琉球の長久を目指すためには、大計得を堅持することが必須条件である」と。目の前の損失を見るだけの短慮=「小計得」に陥るのではなく、将来を冷徹に見通す遠慮=「大計得」を持つことが、最も重要な課題であるという意味なのです。つまり、「目先の損得に惑わされるのではなく、将来を泰然と大きく見通す力を持つ人材を備えることこそが、国の将来を決する」とも読み取れます。これは沖縄だけに限らず、新潟長岡を救った小林虎三郎の「米百俵の精神」も有名であり、今の我が国全体にもふさわしい教訓だと思います。
小さい頃に学んだことは、必ず記憶の底に残ります。「将来を見通す力」を身に付けさせる人材育成、すなわち『教育』に力を注ぐことこそが、私たちに明るい未来をもたらす「大計得」なのではないでしょうか?
この「教育」という崇高なミッションを背負いながらも、ついつい目先の物事「小計得」にばかり気を取られ、「大計得」のできない自分を反省している、今日この頃です。