「モンスターペアレント」という言葉の出現で、クレームが言えない親が多くなったという記事を、以前目にした。モンスターと言われることを恐れ、学校や塾への申し入れができない親が増えているらしい。これでは、我が子の話に腹を立てても何も言えずに、教師への不信感が募るばかりではないだろうか。 恥かしながら当学院も、保護者の方からお叱りの言葉を頂戴することが年に数件。もちろん、モンスターではなく、冷静かつ丁重に、こちら側の言い分も聞いていただける姿勢で話されるのだが、正直そのご指摘内容にはかなり手厳しいケースもある。
誰しもクレームを受けるのは辛いもの。しかし、そのクレームにこそ、私たちの気付かない貴重なアドバイスが含まれていることが多い。クレームが、受ける側よりも、出す側に大きなエネルギーが必要であることも事実である。たとえばレストランに行って、料理がまずい・店員が態度横柄・異物混入…などで嫌な思いをした時、その場でクレームを言う人は日本ではわずか2割程度だという。つまり、8割の人は何も言わずに「もう二度とその店には行かない」という行動に出る。しかしこれでは、その店のサービスは永久に改善されない。
保護者の方からお叱りの言葉を頂戴した時に、私たちは最後に必ず「ありがとうございました」をお返しすることにしている。「勇気を出して叱って頂いたおかげで、私たちはさらに成長できる」ことへの感謝の証として。そして、その人たちとの絆はさらに深まる。だからこそ、『クレームは宝の山』なのである。