「学歴フィルター」の恐い話

20年近く前、特進館学院の前の塾を経営していた頃。その塾で中学校時代から仲良しだった男女の塾生が卒業してからお付き合いを始め、彼らが大学3年の秋の出来事です。彼は県内の有名国立大学、彼女は大阪の偏差値40程度の私立大学に通っていました。ある日、二人がカフェでデート中、就職活動で某大手食品会社の入社説明会への申込みのために、それぞれのノートパソコンで、その会社の採用ホームページを開いていた、その時、悲劇は起きたのです。「二人で一緒に入社説明会に行こう」と、各々のPC画面を開くと、彼の方のパソコンには「申込み」のボタンがあるのに、彼女のパソコン画面のすべての申込みボタンは「満席」と表示され、押せなくなっていました…。

学歴よりも実力重視と言われるようになった企業の採用方針ですが、実はこれはあくまで建前上の話。近年の採用システムは完全に電子化されていて、多くの企業は予め大学をランク分け、一定基準以下の大学は自動的に「学歴フィルター」で無慈悲に振り落とされてしまいます。だから、偏差値が低い大学の学生は、説明会に行くことすらできない。子どもの頃から「〇〇社に入りたい」と夢を抱いていても、実は低ランクの大学に入学した瞬間に、すでに夢は崩壊してしまっている。これが悲しい世の現実。何とも恐い話だと思います。