子どもが学校で使う教科書をタブレット端末などに収めた「デジタル教科書」について、文部科学省の専門家会議は22日、2020年度に導入する案を示した。現在は副教材の扱いだが、文科省は17年度にも法改正して正式な教科書と位置づける方針。導入後しばらくは紙の教科書と併用する。音声や動画を活用することで、学習効果を高めることが期待できるという。紙の教科書のように無償化しない見通しで、家庭や国・自治体の負担が課題になる。教員の指導力向上なども欠かせない。専門家会議は16年末までに最終報告をまとめる。
学校教育法は、小中高校生は国の検定に合格した教科書を使う義務があると規定。デジタル教科書の正式導入には法改正が必要になる。文科省は小学校で英語が正式教科になる20年度に導入することで、発音の学習などでの活用もめざす。将来的に学習効果があると認められれば、デジタル教科書を主な教材として使うことも可能にする。どんな分野で教育効果が大きいかや、視力など健康への影響も検証する。教科書は数年に一度、国の検定を受ける。デジタル教科書については、検定に合格した紙の教科書の内容を、そのまま載せている場合は検定を受ける必要はない。音声や動画も検定の対象外とする。企業による端末や関連教材の開発、教室の無線LAN整備なども加速しそうだ。調査会社のシード・プランニング(東京)は15年度に52億円だった教育用タブレットの市場規模が、20年度には2120億円に拡がると予測している。