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代表北村の教育ちょこっとコラム

『美談』になりきれなかったお話

 かつて、私がこの教室の近くに初めて塾を開いて間もない頃のお話です。当時、教室の斜め向かいにあった「ザ・シューズ」という靴店で教室履きのスリッパを探していた時、にわかに大きな声が店内に響き渡りました。
 様子を伺ってみると、どうやら近くの高校生がスニーカーを万引きしたのを見つかったようで、店長らしき人がその高校生を厳しく叱っています。「今すぐ警察に来てもらう!」。店長はかなり興奮した様子でした。
 その時私は仕事柄…というか、その現場に駆けつけて、「その靴はおいくらですか?」と一言。そして、財布から代金の2千円を店長に渡して、その高校生を放免してもらいました。「もうこんなことをするなよ」。彼は、複雑な顔で軽く会釈をして店を走って出て行ったのを覚えています。
 それから約1週間後、塾の教室に彼が母親と一緒に来訪し、何度も謝られた後に、「お返しします」と言って2千円を差し出されました。しかし私は、「そのお金はお母さんのお金ですよね。私は、彼が将来社会人になり、自分で稼いだお金で返してほしいと考えています。何年、何十年かかってもかまいません」と言って受け取らず、そのままお帰りいただきました。この二人は、親一人子一人の母子家庭だったようです。
 …ここまでの話を聞くと、「美談だなぁ~」って思われますよね。もちろん、すべて事実です。
 ところがそれから25年。その彼は未だに私の前に登場してくれません。もう40歳は超えているはずですが。
 悲しいかな、「美談」になり得るって、なかなか難しいものです…。
〔北村昌弘〕

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